スコラーの体験談(大和日本研究スコラー)
ケンドラ・エヴァンス 大和日本研究スコラー2017
大和日本研究スコラー2017年の奨学金を頂いたおかげで、ロンドン大学東洋アフリカ研究学院(SOAS) から、史学修士号を取得することができました。
学士論文は、「文明開化」に象徴された明治時代の日本が、アフリカについてどう考えたのかに焦点を 合わせました。これに関してはSOASは理想的な研究機関でした。コース期間中に南部アフリカの歴史について学んだことが、 修士論文にて、明治初期に執筆されたイギリスとズール王国との戦争に関する 日本の報告について調べたいと思うきっかけとなりました。
大和日本研究スコラーの奨学金により、横浜開港資料館へ訪れ、どのように日本が戦争について報道し、ズールについて考えていたのかを理解する為に、その当時の新聞を読み込みました。このような細かい 学術的研究を行うチャンスをもらったことを、今でも有難く感じております。
修士号を取得した後, 現在はThe Pokémon Company International のローカリゼーション部に勤めております。国際的企業ではありますが、毎日私がこれまで培ってきた日本や日本語の知識が生かせる場所であります。
ルシンダ・フレミング・ブラウン 大和日本研究スコラー2021

私は大和日本研究スコラー2021の奨学金をうけて、東京藝術大学大学院 国際芸術創造研究科アートプロデュース専攻にて、芸術学とキュレーションを学びました。研究テーマは、琉球諸島の写真や映像の歴史であり、特に琉球諸島の領土認識を証明する記録資料に焦点を絞り調査を行いました。
そして、2023年にハーバード大学芸術映画視覚学科主催のカンファレンスで、修士論文の一部を “沖縄返還協定”と写真家 中平卓馬のビジュアル・ポリティクス(世の中にある政治的・社会的メッセージを映像というツールを通していかに行うのか)として発表しました。
今後2年間は、自分のプロジェクトを「共有している海洋と分断された歴史: 東アジア地域での動員された人工物、人々と思考」と名付け、ゲティ財団のプロジェクトの「Connecting Art Histories initiative」の一環 としてすすめる予定です。
大和日英基金からの支援により、沖縄での実地研究を実現することができただけでなく、日本全国の様々な施設での展覧会やカタログ制作を通し、大学の授業で習った実践的なスキルをさらに高めることが可能となりました。
私はロンドンに戻りましたが、大和日本研究スコラーとして過ごした2年間に劣らぬような豊かで充実した多様性に満ちた学びの機会を確保できるよう、引き続き精進したいです。
ドロシー・ファイナン 大和日本研究スコラー2018

私はシェフィールド大学において、日本のアイドル・ミュージックの世界で見られる青春の表現に関する博士研究で大和日本研究スコラーシップを授与しました。本スコラーシップは2020年春と夏に予定していた東京でのフィールドワークの準備に役立ちましたが、このフィールドワークは残念ながら新型コロナウィルス蔓延により、中止となってしまいました。幸運にも継続的なサポートを得ながら、数々の歌詞を収集し、作曲家へのインタビューをリモートで行い、その研究結果を学術誌に発表することができました。産休期間を挟んで、2022年夏に博士論文の審査を無事に終え、リーズ大学の文化産業学科で講師を務めています。現在は第2子出産のため休暇中ですが、復帰後は、特に私の故郷であるブラッドフォードが英国文化都市になる2025年に向けて、私自身の授業や研究を、英国と日本の若者の架け橋にしたいと考えています。また将来、私の博士研究をベースにして単行本の制作を始めるのも楽しみです。
ブラディック・和泉 大和日本研究スコラー2016

大和日本研究スコラーとして、私はオックスフォード大学で考古学の博士号を取得しました。論文執筆にあたっては、日本の縄文時代における暴力を調査するため、集団ベースの生物文化的アプローチを採用しました。私の研究によって、暴力に由来する受傷人骨がこれまで報告されたよりはるかに多く存在することが明らかになりました。しかし、縄文人が経験した暴力はカリフォルニアやヨーロッパの狩猟採集社会の例と比較すると低レベルであったように思われます。縄文人骨を直接調査した結果、いくつかの未解決の問題が見つかり、包括的な国家レベルの生物考古学データベースを開発する必要性が明らかになりました。このようなプロジェクトは、私の研究分野での国内および国際的な協力関係を強化するものであり、ぜひ参加したいと思っています。日本での研究職を探しながら、私はSESHAT:グローバル・ヒストリー・データバンクのために先史時代の日本に関する研究を非常勤で行っており、オックスフォード大学およびクランフィールド大学の法人類学者と日本の仏教絵画(九相図)に関する論文を共同執筆しています。
レベッカ・パターソン 大和日本研究スコラー2018

京都大学大学院修士課程学位授与式に出席したレベッカ・パターソン
私の修士号は科目履修型コースで、言語習得や学習に関する基礎 をしっかりと学ぶことが出来ました。論文ではスピーキングの効果を向上させる方法として、リフレクション・ストラテジーを扱ったため、このコースで学んだことは論文の執筆に大変役に立ちました。修士号取得後、私は京都大学で研究を続けることを決意し、教育学研究科教育認知心理学講座という別の科で博士号を取得することにしました。私の研究対象は、注意や認知負荷の問題といった外国語を話す時の不安に関する認知メカニズムへと若干シフトしました。経済的に自立し、学術的な経験を積むため、京都ノートルダム女子大学と京都府立大学で英語を教えており、独自のカリキュラムに沿ってスピーキング重視の授業を行っています。学生がレッスン味を持ち、100%理解できるように授業を進めており、私の日本語のスキルが役立つ場面が多くありま
す。さらに私は外国語として日本語を習得し、女性のキャリアチャンスが制限されている日本で若い女性ながら成功しているというロールモデルとしての役割も果たしています。
エリザベス・ウォーマルド 大和日本研究スコラー2016

2017年東京の国立新美術館における草間彌生の「わが永遠の魂 」 展にて
私は大和日本研究スコラーとして早稲田大学国際コミュニケーション研究科修士課程で視覚文化を学びました。私の研究は日本の女性写真家に焦点をあてたもので、彼女たちの自画像を美術史における
伝統的な男性的視線を打ち崩す手段として捉え分析しました。2019年春に修了した後、ロンドンのクリスティーズ日本美術部門でインターンシップに参加。美術市場への理解を深め、浮世絵について多くのことを学びました。2019年8月、ローズベリー・ファインアート・オークショニアーズでフルタイムの職に就き、日本部門と版画・マルティプル部門のカタログ担当として働いています。私の研究は、北斎や草間彌生からピカソやブリジット・ライリーに至るまでの作品を扱う、日本のファインアート及び現代
国際アートの二つの専門分野におけるプロとして仕事をすることを可能にしました。
ハリエット・クック 大和日本研究スコラー2017

ハリエット・クック
東京の株式会社日立
ビルシステム亀有総
合センターにて
大和日本研究スコラーとして、私は早稲田大学大学院アジア太平洋研究科国際関係学専攻で修士を得ました。私は日本の女性の出産と子育ての選択に影響を与えている要因について研究しました。
首都圏に住む9名の女性に対して行なったインタビューを通して、私は性別による制約の存在を裏付ける証拠を見つけました。それは私がインタビューした人々の生活に今もなお重要な影響を
与え続けています。日本政府の最近の働き方改革は、効果のない一時しのぎの政策とみなされていました。適齢期という規範、結婚を母性と同一視する社会的圧力、子育てと両立しないフルタイムの仕事といった根本的問題の解決にはなりませんでした。私は卒業後に、シェフィールド大学で開催された英国日本研究協会(BAJS)の2018年のカンファレンスで、私の研究成果を発表しました。学部生としてかつて日本語を学んだ大学に戻ることができ、うれしく光栄に思いました。。現在では、 日立レールヨーロ ッパ社のビジネス・マネジメント部門で働いています。
カラ・ジュール 大和日本研究スコラー2015

カラ・ジュール セント・アントニーズ・ボート部の春の
パーティにて
カラは2016年に近代日本研究の修士課程を修了し、現在オックスフォード大学セント・アントニーズ・カレッジの博士課程2年次に在籍しています。彼女の研究は日本における数学の成績の性差について探究するもので、特に教師や教育政策担当者等の主要な関係者が、いかにこの問題を理解しているかという点に焦点を当てています。日本が抱える興味深い問題は、PISAやTIMSS(15才)等の国際学力調査で高い評価を受けていながら、女子は男子クラスメイトに比べ著しく低い得点であり、数学に対する自信や
興味もはるかに低くなっていることです。経済学上重要なSTEM(科学・技術・工学・数学)分野職業への女性の進出を奨励する「アベノミクス」戦略の目標にも関わらず、数学に対する考えや成績の性差について、日本社会でほとんど無視されてきたのはなぜなのか、カラは調査を続けています。
最近、フィールドワークの第2ラウンドを終え、第3ラウンドを計画中です。
トーマス・モナハン 大和日本研究スコラー2016

中央,トーマス,左,株式会社島津興業 代表取締役会長 島津修久氏 .右,株式会社島津興業代表取締役社長島津忠裕氏 。
トーマス・モナハンは 2017年夏に東京大学大学院人文社会系研究科・日本史学外国人研究生を終えました。エディンバラ大学で学士号(歴史)、そしてロンドン大学SOASで修士号(日本研究と
上級日本語)を取り、間の2年間には香川県の直島でJETプログラムの外国語指導補助教員として働きました。日本にいる間に、トーマスは薩摩藩(現在の鹿児島県)が徳川幕府の打倒と明治政府の設立を目指して1830~1877年に果たした重要な歴史上の役割を調査しました。薩摩の近代化におけるリーダーシップの原点及び島津斉彬(1809-1858)による薩摩の産業化推進を研究する一方で、明治政府の近代化改革に対する激しい反発とみなされる1877年の反動軍国主義とを研究しました。2017年9月から始まるイェール大学博士課程では、薩摩が日本の他の地域とは別の道を進んだこと、そしてこれが19世紀の大変動
期に日本の政策の特徴を明らかにした理由をさらに探究します。